がん遺伝子治療
がん遺伝子治療とは 保険外診療
がん遺伝子治療をご存知ですか?がん抑制遺伝子等を用いた遺伝子治療は、がんの元になる遺伝子異常を改善し、がん細胞の増殖を止め、細胞死に導く画期的な先進治療法です。抗がん剤や放射線療法で免疫力が低下していても治療が可能です。この治療は、新しい第4のがん治療として世界各国で始まっています。がんのメカニズムに基づいたがんの根本治療である、がん遺伝子治療は当院で受けることが出来ます。
がん遺伝子治療
全てのがんの発現には遺伝子の異常や欠如が大きく関係しています。ほとんどのがん細胞はがん抑制遺伝子が正常に機能していません。このような遺伝子の異常によりがん化した細胞に遺伝子を正常に導く治療タンパクを投与することにより
1)がんの無限増殖を抑制し、
2)アポトーシス(自然な細胞死)を促進させるのが『遺伝子治療』です。
人は約37兆個の細胞から成り立ち、増殖と自滅でバランスをとっています。
①増殖を抑制するPTENというがん抑制遺伝子
②自滅を促進するp53というがん抑制遺伝子
③老化した細胞を排除するp16というがん抑制遺伝子
これらの作用により細胞はバランスよく維持しています。
ところが、がんは「無限増殖」「不死」の状態です。
したがってがん治療におけるポイントとして
1)がん細胞をアポトーシス(自然な細胞死)に導くこと、
2)がんの増殖を止めること、この2点からがんを攻めることが大切です。
がん細胞をアポトーシスに導くことと、増殖を止めることは同じようなことに思えますが、実は異なる
アプローチが必要なのです。
従来の遺伝子治療は、がんの「不死」と「無限増殖」に対し、どちらかにしか効果の認められないものも存在していました。しかし最新のがん遺伝子治療では、がんの「不死」と「無限増殖」に対し、それぞれに効果の高い治療タンパクを使用します。
がん遺伝子治療はがんの原因である遺伝子異常を改善します
1)ほとんどのがん組織においてがん抑制遺伝子の機能が低下しています。
→がん遺伝子治療は,以下のようながん抑制遺伝子を投与します。 p53 p16 PTEN
2)がんにおいて増えるとよくない蛋白(がんの増殖を促進させるCDC6等があり、これらを作るマイクロRNA(mRNA)が増加しています。
→がん遺伝子治療はこのmRNAを抑制するRNAを投与します。 cdc6shRNA
がん遺伝子治療は,標準治療(手術,抗がん剤,放射線治療)の
弱点を補い、効果を高めあうことができます!
がんは遺伝子の異常から発現するため、原因となっている遺伝子に直接作用する遺伝子治療がほとんどのがんに効果を示すのは当然のこととも言えます。
抗がん剤には自滅促進型と増殖抑制型(分子標的薬)があります。
〇自滅促進型の抗がん剤とp53・p16はDNAに対する作用機序が似ているため相乗効果が期待できます。
〇増殖抑制型の抗がん剤とPTENは同じ増殖シグナル抑制に働きかけるため相乗効果が期待できます。
また放射線治療にはDNAに損傷がある細胞を自滅に追い込むp53・p16は相乗効果が期待できます。
がん遺伝子治療はこのように放射線治療や抗がん剤との相乗効果も非常に高く、標準治療との複合治療はより大きな効果が期待されます。また副作用もほとんどない、肉体的にも精神的にも優しい有効的な治療です。
※当院での遺伝子治療は、現在まで世界中で研究発表されている数百の論文(たとえば肺小細胞がんにはどの遺伝子がどの程度壊れているか等の報告)をまとめたものをベ-スに各々のがんでどの遺伝子異常が多いかを調べあげ、 1)p53、2)PTEN、3)cdc6shRNA、4)p16 と腫瘍壊死因子である5)TRAIL などのうち各々の効果を妨げないように2~3種類の遺伝子および腫瘍壊死因子を選択して治療を行います。
※TRAIL(tumor necrosis factor-related apoptosis-inducing ligand)は炎症を引き起こして発がんを抑制したり、がんのアポト-シス(細胞死)のプロセスを促進します。
費用:治療費(1回分) |
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遺伝子による副作用 |
当院では重篤な副作用は見受けられません。しかし、以下の副作用が予想されます。 軽度な副作用として、発熱やだるさを感じることがあります。この症状は特別な処置をしなくても12-24時間程度で改善されます。 |
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未承認医薬品等であることの明示、入手経路等の明示 |
本治療に用いる遺伝子は、医薬品医療機器等法上の承認を得ていないものです。 院内調剤(一部外部委託)として、適法に調剤しています。 日本では、未承認医薬品を、医師の責任において使用することができます。 |
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国内の 承認医薬品等の 有無の明示 |
本治療に使用できる同一の性能を有する他の国内承認医薬品はありません。 | |
諸外国における安全性等 に係る情報の明示 |
Germline-integrationのリスク評価 General Principles to Address the Risk of Inadvertent Germline Integration of Gene Therapy Vectors Oct. 2006 |
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がん遺伝子治療の 潜在的な毒性:がん遺伝子治療の 副作用および禁忌 |
①これまでの国内外の報告から、遺伝子治療一般に比較的よく見られる軽い副作用。 1.感冒様症状(発熱、鼻水など) →対処法:消炎鎮痛剤、消炎酵素剤、抗生物質、抗アレルギー剤、抗ヒスタミン剤等の投与 2.消化器症状(下痢。吐き気など)→対処法:症状に合わせた薬剤等の投与 3.軽いアレルギー性反応(発疹など)→対処法:抗アレルギー剤、抗ヒスタミン剤、ステロイド等の投与 4.軽度の白血球減少→対処法:原則的に経過観察 ②これまでの国内外の報告から、ごく稀ではあるが遺伝子治療に見られた比較的強いと考えられる副作用。対処法は定型的なものを記載するが、これに限るものではない。 1.腎機能障害 →対処法:治療中止、抗ウイルス薬。輸液、利尿剤等の投与 2.骨髄抑制(高度の貧血、高度の白血球減少など)→対処法:治療中止、抗ウイルス薬、G-CSF投与、輸血 3.重度のアレルギー症状(喘息発作、ショック)→対処法:治療中止、ステイロイド投与 4.血液凝固障害(出血傾向、血栓症など)→対処法:治療中止、蛋白分解酵素阻害剤、血栓溶解剤投与など 除外基準
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